考えてみよう、死刑について
こんな機会でないと、死刑について考えることもないので、
今の考えを、書き留めておきます。
(これを記事を書き始めたのは、オウム真理教事件の死刑執行直後)
まず、
一般的な死刑制度賛成の理由をもとに、考えてみたい。
・極悪人を税金で養うのは無駄(早期執行)
・死刑がなくなると犯罪が増える
・被害者感情、処罰感情を満たす
・人の命を奪った償いは、命でしかできない
この4つから、少しずつ考えてみます。
統計で調べる収容者人数と経費
日本では、昭和30年代をピークに、殺人事件の件数は減り続けているのが現実です。
ことさらに、最近になって極悪犯罪が増えたわけではないのですが、
なんとなく、治安が悪くなった気がするのは、
マスコミ報道の影響もあるのでしょうね。
もう一つ、
受刑者1人にかかる経費の額。
刑務所の維持、運営にかかる費用を、
受刑者の人数で割ると、年間約300万円くらい(゚д゚)!
この辺りが、ネットでよく議論されている金額です。
これによると、
①『受刑者処遇読本』p.82に、「平成20年度予算における矯正収容費が536億6585万円で、一人一日平均の収容経費にすると、約1367円」との記述があります。受刑者と未決拘禁者を含む全被収容者の数字とのことです。1367円の内訳も記されています。
(鴨下守孝著 小学館集英社プロダクション 2010年発行)
②『刑務所の経済学』p.46に「日本では受刑者一人あたりの収容費用は年間約300万円である」との記述があります。(中島隆信著 PHP研究所 2011年発行)
ここでは算定根拠は書かれていませんが、同著者が「経済学の視点から見た刑事政策」(『犯罪社会学研究』36巻 2011年10月)という雑誌記事の中で述べている部分が参考になるかと思います。雑誌のp.52で、「法務省矯正官署の平成22年度の予算額は2300億円で、矯正施設の収容者は7万5000人である。一人あたりの排除コストは年間300万円という計算になる」と書かれています。
なお、この論文はインターネットで公開されています。
②が、300万円の出処のようです。
予算が2300億円かかるので、受刑者数で割って、一人300万円。
いやぁ、間違ってないけど、受刑者が年収300万円の生活と想像したら、
乱暴すぎますよ~(-_-;)
例えば受刑者の生活費という点で考えると、①の方がそれに近い数字のようです。
①の矯正収容費の内訳として、「被収容者作業報酬金」「被収容者被服費」「被収容者食糧費」などがあげられて、②はこの①を含め、全体の費用です。
受刑者の生活費を、1日1400円としても、1年365日で51万円です。
平成22年度の予算が2300億円のうち、生活費は、
収容者が75000人で、1人1日1400円、1年51万円で、総額382.5億円
このyahoo知恵袋の回答からも、似たような数字が出てきます。
受刑者数の統計は、法務省のHPで見ることができます。
一番古い資料の受刑者数は、
2007年1月の82000人ほどで、
一番新しいのは、
2018年4月の52000人でした。
http://www.moj.go.jp/content/001215280.pdf
興味深い資料をみつけました!
法務省の矯正業務というものです。
収容者1人にかかるコストの計算をしています。
総費用÷収容者数という計算ですが、
内容を細かく確認できます。
いずれにしても、1人300万円というのは乱暴な計算だ。
受刑者には最低限の生活費がかかるのは当然ですが、
彼らを収容することで生じる諸経費(人件費、施設維持費等)にも、
無駄がないか、気になるところです。
続きます↓